塗料材種による一般的な耐用年数と価格
塗料には各メーカーの独自開発による特殊なものもありますが、一般的な塗料材種によるおもな特徴と耐用年数を以下で紹介します。
なお、耐用年数と同じような使い方をされる言葉に耐久年数があります。耐久年数とは、ある材料が外部要因にどれだけ長く耐えるかをテスト結果などから推定したものです。一方、耐用年数とは使用状況や自然環境によって、どれだけ長く実使用に耐えられるかになります。塗装工事でいえば、見た目や被覆保護の機能が実使用に耐えられなくなるまでの長さです。このように、厳密な定義は異なるのですが、一般的なやり取りの中では同義語と捉えてもいいでしょう。
ウレタン塗料
一般的によく使われている汎用的な塗料で、耐用年数は5〜7年とされています。リーズナブルで施工性がよく汎用的に使える塗料ですが、耐用年数や防汚性能では少し物足りないかもしれません。
シリコン塗料
屋根や外壁に使われている塗料の現在の主流で、機能と価格のバランスが良く、カラーバリエーションも豊富です。耐用年数は、7〜10年とされており、コストパフォーマンスの高い塗料です。塗料メーカーによっては独自の添加剤を加えるなどの開発で、防汚性能を上げたり耐用年数を10〜12年に向上させたりしているものもあります。
一方、ウレタン塗料に比べて塗膜の伸縮性能が小さいため、地盤の揺れが多い地域や寒暖の差が激しい地域には向いていない面もあります。ただし、同じシリコン塗料でも成分調整や添加剤などで解決しているメーカーもあります。
フッ素塗料
価格は高めですが、防汚性能に優れており、色あせしにくい耐久性能も持っている塗料です。耐用年数は15年以上とされています。よく知られているところでは、フッ素を使ったフライパンなどのテフロン加工製品があります。テフロンの非粘着性(撥水性)から、汚れを雨で洗い流してくれるのです。耐久性能と防汚性能に優れたフッ素塗料は、長く美観を保ちたいことを最優先する場合に向いています。
一方、その非粘着性が塗替え時には問題となる場合があります。非粘着性のため、塗り替え時には特殊な下塗りをしないと上塗り塗料が密着しにくく、他の塗料に比べて再塗装時の下塗りコストが上がる懸念があります。
無機塗料
自然界の鉱物(無機物)を成分に含んでいる塗料です。無機物には、身近なものでは、ガラスやセラミックがあります。他方の有機塗料とは、主に石油を原料にした樹脂成分で作られたものをいい、ウレタン、シリコン、アクリル、フッ素などの塗料が該当します。ただし、無機成分100%では塗料を作ることができないため、実際には有機成分の樹脂との混合で、ハイブリッド塗料と呼ぶ場合があります。
有機成分100%で作られた塗料に比べて無機成分のおかげで紫外線に強く色あせしにくい特徴があり、耐用年数は15年以上とされています。さらに無機成分が含まれているため、藻・苔・カビが発生しにくい性質も持っています。非常に高耐久な無機塗料ですが、塗膜が硬いため、ひび割れしやすい外壁には向いていません。ただしこれも無機成分と有機成分の割合によっても異なります。
ナノテク塗料
ナノテクノロジーを使った塗料で、原子のスケールで制御されたものです。ナノとは10億分の一の大きさを表しており、緻密な塗膜をつくるため汚れが付きにくいのが特徴です。耐用年数は、11〜17年とされています。